「タカダワタル的おまけ」
2007年1月28日、吉祥寺バウスシアターで行われる「高田渡生誕会」のポスターの絵を描きました。「あっ、渡ちゃんだ、かわいい!」と評判いいようです。この絵を描きながら、僕自身、渡ちゃんのこと好きだったんだなあ、と再認識した次第です。 詳しくはこちら

 
 

「本日のおまけ」
このふざけた写真の主人公は、我が友・ムービーカメラマン・市川任男であります。いい年こいてふざけることしか知らないショーモナイ人物なんです、というのは真っ赤なウソでありまして、ぼくは彼にどれだけ助けられて来たことか。感謝して感謝しつくして、すっかり感謝するのを忘れてしまったほどです。この写真は1993年夏に韓国南部・全羅南道の片田舎の食堂で撮ったものです。舞踊家キム・メジャ先生に依頼された企画制作の仕事「日本舞踏フェスティバルinソウル」のビデオ撮影係として3週間付き合ってくれた彼とふたりで、おつかれさん旅行をした時のスナップです。テーブルの上の小皿料理は30種類をこえていましたね。そのどれもがうまく、しかもむちゃくちゃ安かったのです。その驚きを表現したのがこの2枚の写真です。それにしても、この写真を見る限り、やっぱ市川さんはバカとしか思えません。ホントに付き合うのやめようかな。でもまた、いつでもどこでも助けてもらいたいので、今後ともよろしくお付き合いのほどお願いね、市川さん。 (この画像は傷んだカラーコピーをもとにしているので、市川さんの顔がかなりヤバイ感じですが、本物はかなり可愛い「じい」ですよ。)

 
 

「カワイイもの好きな人々。 (ただし、おじさんの部)」
今回のおまけは2004年6月に「ほぼ日刊イトイ新聞―カワイイもの好きな人々。(ただし おじさんの部)」に掲載されたレポートです。このアドレスをクリックしてくださいね。恥ずかしいようなおじさんの発言が繰り返されています。でも、恥ずかしいと言いつつこうして公開するのは、ホントは恥ずかしいと思ってないんじゃないかという疑惑をもたれても仕方ありません。
http://www.1101.com/kawaii/2004-06-23.html


 
 
 

最初のおまけは書であります。

「おならのとしはいくつ。」と読めますね。う〜ん、素晴らしい! 完璧な書だと思います。軽妙というか洒脱というか、内容の深遠さがほのかなユーモアのなかに漂っているようです。文字のバランス、和紙の余白の美しさ、墨のかすれを生かした自由闊達な筆のはこび、それでいてすべてが統一され、まったく無駄がありません。書といえば、良寛さんの「天上大風」がいちばんと思っていましたが、良寛さんもびっくりのこの書は、かの高田月歩先生がなんと七歳の折りに揮毫したものとされています。あっ、月歩先生はいまも七歳でしたね。忘れてました。すいませんです。

それにしても、「おならのとしはいくつ。」って、何というお言葉なのでしょう。

生まれてから一度もおならというものを経験したことのない僕には全く想像もできません。誰かおわかりの方は教えてくださいませ。


 
 
我が家の藤原ジトの書「福音」 

この頃、久しぶりに詩を書いてます。
これは藤原ジトのことを書いた詩です。新井高子という素敵な詩人の個人詩誌『ミて』に載せてもらいました。高田月歩先生の書ともつながるような気がしますので、恥ず かしながら、おまけにつけました。


文字のジトさん

レンギョウの季節になると
いそいそと多摩の里山にでかける
黄色いあわ粒のような花芽が吹くから
会いたい男に会いにゆくのだ

電車とバスを乗り継いで檜原村小岩
人家のない山の道を登る
土が黒い 山は灰色 桃はふくらみ
集落に近づくと福寿草や水仙が揺れる
花のことがどうしても気にかかる
ただ美しいという言葉を置きたい
山はどこにでも水が流れている

なつかしいジトさんを訪ねる
ジトさんは宇宙人の書家なのだが
きょうは老人介護の仕事で留守だという
縁側では奥さんのてるちゃんがまるいかたちで
ひなたぼっこをしながら聖書を読んでいる
息子のミナモ君がこたつで絵を描いている
彼はチャーリーブラウンにそっくり
マド君とソラ君は碁を指しに町にでた
三匹のうさぎもまだ生きている
宇宙の家族は去年とあまり変わらない

ジトさんが頭に白いタオルを巻いて帰ってきた
あらさ来てたんかうれしいなあ
本当に嬉しい人なのである
顔がまったく正当に笑っているのだ
お茶をすすり友だちの話をしながら
焚き火に火をつける よく燃える
春のはじめ 山に囲まれたこの庭で
なつかしいジトさんと話すのは
ぼくの無上の愉しみだが
ここで一緒に野焼きをやったヒロユキ君は
もうこの世にはいない
煙になった美しい彼の顔を思い出す

ジトさんこの頃どんな字を書いてるの?
書くのは老人ホームの日誌ばかり
いくらでも書くことがあって面白い
おかしなことばかりで日誌を書くのが面白い
日誌の文字も面白い だからたくさん書いてしまう

ジトさんの書は素晴らしいと思う
我が家にも新緑を黒々と含みこんだ
そしてたっぷりとっぷり破格の
「福音」という書がかかっている
ジトさんの書く文字は鍛錬からは遠い
かといって素朴な自然などでもない
格闘のあとさえたしかにある天然
そこがたまらなくいい

文字はどこに書くのか
紙の上に水の上に手のひらに空の高みに
どこにでも書くどこにでも
そうだジトさんは高高山にも書いたことがある
文字がいとおしいと思うのはなぜだろう
それは文字そのものより
書いた人に思いがゆくからか

ジトさんはごそごそ古い酒を探し出し
てるちゃんは豚汁をつくっている
山が暮れてくると焚き火がおいしい
マド君もソラ君も帰ってきた
酔えば話は尽きることがない
ほのかに明るんでいる集落にも
レンギョウの小さな群れが咲いていた

 
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© Minami KuuKuu.