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第2展示室  【テラコッタの部屋・その1】
ギャラリーの第2展示室はテラコッタの部屋です。
テラコッタは「土を焼く、焼かれた土」という意味のラテン語語源の言葉です。一般的には700〜800度くらいの低温で素焼きした煉瓦やタイル、古代の遺跡から出土した埴輪や土偶、土器の類を呼称する言葉のようです。ただし、ぼくはあまり意味を限定していません。粘土をこねて火で焼いたものをすべてテラコッタと呼びたい気がします。最近は素焼きしたものに木灰をかけて1250度くらいの高温で焼き締めたり炭化させたりする作品が多くなってきましたが、それらを含めてテラコッタと呼ばせてもらっています。
はじめてテラコッタの人形を作ったのは1986年くらいだったと思います。最初の個展を控えて、以前からやってみたかった「埴輪のような作品」つくりに挑戦したのがきっかけでした。それ以来作ったテラコッタの数は大小合わせれば1000体を超えていると思います。
ぼくのテラコッタ作品はほとんどすべてが笑っている人物像です。人物と言っても大体がけったいな格好をした「ヒトのようなもの」で、ごく稀れに「土の妖精」とか「精霊」とか言ってくださる方がいますし、円空仏を思い出すと嬉しいことを言ってくださる方もいますが、見る方それぞれに感じてくださればいいのだと思います。
2004年の10月には待望のテラコッタ作品集を出版することができました。 このギャラリーに展示する作品の多くはその作品集『桃の楽々』に収録したもです。この本にはテラコッタ作品の写真のほかに詩やエッセイなども収めました。一部ではかなり好評の本です。まだお持ちでない方はぜひ手にとってくださいませ。
 
 
 

ひだまりでのほほんとしている好人物?
忙しい人生の束の間のやすらぎなのか、このヒトはずっと昔からこんな風だったのか。ぼくもこんな時間を過ごしてみたいなあ!

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このヒトも文句なしに気持ちよさそうですね。言うことなしって感じです。これは青梅の日の出陶房というところで作りました。そこは知的障害をお持ちの多くの方が生活していますが、その人たちの姿を見ていたらこんな作品ができました。彼らのつくる作品の中には本当にいいものがあると思います。

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これはソウル郊外のパク・ユンジャさんの工房で作りました。韓国のかなりキメの荒い土で、ちょっと磁土のような風合いがとても気に入りましたが、日本ではなかなか見つからない土です。パク・ユンジャさんはすごくバイタリティにあふれた女性ですが、どことなく仙人みたいなところもあります。最近は庭に土を塗り固めた畳一枚くらいのすごく小さな家を造ってそこで生活しています。それがなんとも素晴らしい家なんです。この写真はユンジャさんの庭の小さな池で撮りました。

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やまぼうしの木のなかで笑っている妖精でしょうか。明るい森のなかって感じですが、実はこれはうちの庭の木なんです。写真がうまいとだまされちゃいますね。誰が撮ったんでしょうって、ぼ、ぼくなんです。このギャラリーに収めたテラコッタの写真はすべてカメラマン・南椌椌撮影であります。かわいいポートレート撮影ご希望の方はぜひご用命を、なんちゃって。

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雪のなかの黒い天使?冷たい空気のなかで手を組んでなにを思っているのでしょうか。この作品は山梨の田村六鵬さんの工房でつくりました。土も田村さんの家の裏山で掘り出した粘土です。焼いてみたら色といい質感といい、ほかの土ではとても出せないような不思議な感じが出ていました。テラコッタは焼いてみないと本当にわからないのです。そこが魅力なんですけどね。

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これはソウルのパク・ユンジャさんの工房で作った作品のなかでも最初の作品です。長いあいだ韓国の土と水をこね火で焼くということを夢見ていたので、つくりながら様々な思いが去来していました。この子の表情がなぜ出せたのかいまでも不思議です。このあと何度か同じような表情を作ろうとしてもまったくできませんでした。桃をテーマに多くのテラコッタを焼き、ガラス絵を描いてきましたが、この作品は自分のなかでは忘れられないもののひとつです。

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秋の木漏れ日のなかで笑っていますね。これもソウルで作りました。かなり大きな作品で、裏側にはまったく異なる表情が刻まれています。頭の帽子の上ではダンサーが踊っていて、胸には魚が遊んでいて……、つまり何というか、何ともいえないというか、言葉につまるような作品です。ホントかな?

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みどりの池のほとりの木の上で、ひそかな顔して佇んでいるのは誰でしょう?炭をつかってほのかに炭化させた顔の表情が微妙だなと思います。これは青梅の日の出陶房でつくって、我が家の窯で焼き直したものです。自分の窯だといろいろな実験ができるので、思わぬ仕上がりに喜ぶこともありますが、その逆もまた多いですね。

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なんだか気のいいやつだなあ。やまぼうしの根っこに座って道行くひとに話しかけているんです。きっとつまらない駄洒落でも言ってるんでしょう。「テラコッタやってカタコッタなんてヤナコッタ」なんて、きみ修行が足らんよ。椌椌先生のところに弟子入りしなさい!

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秋のおわりに旅するふたりがようやく目的の地にたどり着きました。あまりに長旅だったのでふたりを乗せた動物と渾然一体となってしまったようです。 この作品もソウルの工房でつくりました。古代朝鮮の遺跡から出た青銅の騎馬像からヒントを得て作ったのですが、ふたりの表情に相当苦心した記憶があります。枯葉ももちろんソウルの枯葉です。

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このなんとも可愛いチビちゃんは、あっといまに生まれた子供かもしれません。ひょひょいと手のひらから零れ落ちるように生まれてくるんですね。簡単そうで、実は簡単なんですが、いつも出来るわけじゃありません。たまたま何かが出会って小さくスパークすると、こんな事が起こります。ほのかな炭化の感じが生成の服を着てるみたいで、なかなかいいではないかと思います。

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ようやく春が来たのでポンチットはごきげんです。ぬくぬくあったか黄色の花にかこまれて、ポンチットは鼻歌でも歌っているのでしょうか。ふむふむふむふむ、なんだかふむふむ……。それにしてもこの脱力感、どうしたらこんな風になれるのか、作者に聞いてみたいもんですね。

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かわいいビオラの花影でまっすぐこちらを見ているのは、ギリシャのデロス島から拾ってきた太陽のかけらです。きっと古代ギリシャの忘れ去られたような一瞬に、島のこどもたちと遊んでいた太陽の化石なんでしょう。愛らしい表情を見ていると、ぼくも作りたくなります。(ん?)

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この作品もソウルのパク・ユンジャさんの工房で作り、ユンジャさんの庭の大きな蓮鉢に入れて写真を撮りました。どこか西域の国から朝鮮半島に渡ってきた一族の末裔のようなイメージでつくりました。沐浴する姫のひたいにはもちろん桃をつけています。蓮も桃も東洋の文化には欠かせないものですからね。

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© Minami KuuKuu.